第2期電王戦の第2局を見たのでちょっとした感想を書きました

私が一番楽しみにしている将棋の対局、第2期電王戦の第二局を見ました。
これで最後と言う事で人間代表の佐藤名人の勝利で締めくくって欲しいと思って見てましたが
結果はPONANZAの勝ちという事で個人的に残念な結果で終わってしまいました。

人間が勝てばもしかしたらまたいつか電王戦を再開するかもしれないと期待を持っていましたが、
今回の結果を見ると、これで終わりでいいかもしれないと思ってしまいました。

最後に現役名人という頂点といえる存在がコンピューターと戦ったという事で
納得のいく最終決戦だったと思えます。

コンピューターはもう強すぎます。読みが深すぎてプロの力を超えたと言われても
もう反論する事ができないんじゃないかと思いました。悔しいですけどね。

佐藤名人を応援してましたが、PONANZAの指し回しは本当に見事で関心しきりでした。
人間が完全に手玉に取られてしまっていたという感じです。名人相手にすごすぎます。

名人ですら手合い違いなのか・・・と思わされるほどの力の差を見せ付けられた気がします。

個人的には残念な結果だった電王戦ですが、今回は見所を少し紹介しようと思います。

棋譜はこちら。棋譜を見ながら読んでいただけると嬉しいです。

注目のPONANZAの初手


PONANZAの初手はランダムで選ばれるという設定だそうです。
ランダムって言っても流石に変な手は指さないよな~って思ってた所に
第1局では先手のPONANZAが3八金という手で始まりました。

マジか!?いきなりやってくれるな~とちょっとワクワクしてしまいました。

強いという前情報が無ければ「舐めてんのか?」と思ってしまう手です。
もし私がネット将棋でやられたらコイツ弱いなと思ってしまう初手です。

事前貸し出しでプロ側に対策を絞らせないためにやった設定らしいですが、
よほど自信がなければできない対策ですよね。PONANZAは恐ろしいです。

そんな初手ランダムというPONANZAの注目の初手、今回の第2局は後手番なので流石に変な手は
不利になるよなと思っていたので無難に角道か飛車先の歩を突くのかな?と思っていた所、
佐藤名人の2六歩に対して驚きの一手を指しました。

42玉.png

4二玉ですよ。4二玉

ランダムとはいえこれは流石に作戦失敗じゃないのかと思う初手です。
これでいけるのか、相手は名人だよ?大丈夫?と心配になってしまいました。

飛車先の歩交換はそんなに得じゃない?


なぜ2六歩に4二玉が変な手なのかというと、これといったメリットがないというのと
飛車先の歩を簡単に交換されるというのがあるからだと思います。

「飛車先の歩交換には3つの得あり」という言葉を聞いたことありませんか?
コンピューター将棋が強くなる前の頃は常識といえる言葉でした。何が得かと言うと

・歩を持ち駒にできる
・飛車が相手陣に直通になる
・2五に歩がいなくなったのでそこに銀がでられる

の3つだったと思いますけど、できる時には喜んで飛車先の歩交換をするのが常識です。

しかし、コンピューターが強くなってきた事によりこの常識は昔の常識になりつつあります。
コンピューターはこの飛車先の歩交換をそんなに重要視していないようなのです。

コンピューターが強くなったことで、歩交換をしないコンピューターの意見を聞くようなり
改めて見直されたという部分がコンピューターの力を認めているという事になると思います。

人間的に言えばとりあえず部分的には得だから交換するけど、
先を読めるコンピューターからすると、よく先を読んでみた結果、
今、歩の交換しなくても後で自然に交換できるという感じで重要視してないのかな?
と思ってます。これは私の勝手な予想なのでよく分かりませんけどね。

今回は佐藤名人も飛車先の歩交換をせず進みました。
もし今回がコンピューターとの初対決だったら間違いなく飛車先の歩を交換したと思います。
以前の常識がコンピューター将棋で変わったのかもしれません。

現在は飛車先の歩交換は1手損するのデメリットの方が大きいのかもしれませんね。

新構想、棒銀を受ける銀矢倉


4二玉には驚きましたが、進んでみると普通の角換わりに進行しました。
名人の棒銀対それを受けるPONANZAの図式です。

次にPONANZAの手で驚いたのは20手目5一銀です。上がった銀を5一に引いた一手です。
普通なら攻めに使う銀を受けに使うという新構想です。(下図)

51銀.png

銀矢倉に組んで棒銀を受けようとする指されてみればなるほどという一手。
その後、銀交換に来た先手1五銀に対しての手筋の2二銀(下図)など、
本局は棒銀を受けるお手本のようなPONANZAの指し回しがとても参考になりました。

22銀.png

棒銀ってやられると困るんだよな~って人はぜひ棋譜を見てください。参考になりますよ。
結局、名人は銀を捌けずに体制を立て直す感じに進みます。

端の位を2つ取られる


PONANZAの指し手でまた感心したのは、両方の端の位を取った所です。
9筋の端歩は名人の判断で受けなかったんですが、ここで評価値が後手に振れたので
重要な端歩だったみたいです。(下図)

両端位取り.png

私がやったら単なる手損になりかねないんですが、最後まで生きる展開になった
このPONANZAの読みは流石です。序盤から終盤まで読みが深くて恐ろしいですね。

特に一筋の位取りは最後まですごく生きたと思います。

狭い所に打った5六角の威力


名人はガッチリ穴熊に組みましたが、ちょっと作戦負けな感じでした。
ここからのPONANZAの穴熊崩しの手順が見事だったので本当に感動しました。
名人頑張ってくれと思いつつも、なんて駒を働かせるのがうまいんだ・・・と
PONANZAの攻めはものすごい迫力でした。

コンピューターにとっては穴熊は苦ではないと言われてしまった感じがします。

名人が5筋の歩を突いて攻めが始まった瞬間に打たれた
64手目5六角。これが良い手でした。(下図)

56角.png

穴熊崩しの第一歩とも言える一手で、先手の攻めを封じつつ穴熊をにらむ素晴らしい手です。
この角成りを防いだ先手の4八飛車は最後まで攻めに働く事ができずに終わりました。

簡単に穴熊を崩される


65歩.png

PONANZAの6五歩(上図)から穴熊崩しがスタートします。

▲5四歩△6六歩▲6八歩△7五歩▲5五角△7六歩
▲同銀△7五歩▲8五銀△9三桂▲9四銀(下図)

94銀.png

と進みます。名人は6八に歩を打って受けましたが、
次の7五歩から穴熊の銀をそっぽへ逃がされてしまいました。どんどん弱体化していきます。

そして上図からたった一歩の持ち駒を8六に打ったのがまた良い手でした。(下図)

86歩.png

仮に同歩と取ると、△6七歩成▲同歩△同飛車成!が強烈な一手になります。(下図)

67飛成.png

▲同金△同角成と進み良い所に馬ができた上に9四の銀にも当たってきます。
その銀取りを受けて▲6四飛と打つ位ですが、△7六馬と引き次の8七歩を狙います。
▲7七歩と受けますが、△5四馬と引くのが良い手で後手優勢です。(下図)

54馬.png

動画を見ながら解説を聞いていた時は8六歩は取っても取らなくても苦しくて
絶望的な一手だったのを覚えています。

実戦は歩を取らずに攻め合いに4五桂(下図)と行った名人でしたが、
ここからあっという間に穴熊が崩壊します。

45桂.png

△7八角成▲同金△6七歩成▲同歩△8七歩成▲同金△6七飛成(下図)
と進み、先手の穴熊はバラバラにされました。

67飛成.png

上図以下▲7八角と指したその後PONANZAが指したのは辛い一手でした。
6三竜と自陣に引いた一手で名人の攻めを無にする感じです。(下図)

63竜.png

陣形を見ると、バラバラで駒の働きが悪い先手、玉が遠く美しい陣形の後手という状態。

これは見てても辛かったです。

どうやって後手陣に手をつけるんだ・・・
こんなに広くて遠い玉なんて見たこと無い・・・

って感じでした。

名人の投了と強すぎるPONANZA


その後▲9一角成△8六歩▲同金△4五歩と進み、
王手の5五馬にPONANZAの4四金で投了となりました。(下図)

投了図.png

解説を聞いているともう先手陣は受けるのも難しくどうしようもない状態との事。
投了もやむなしだと。今が一番バランスがとれてる投了図だそうです。

第1局、第2局と見てきましたが、ここまで差をつけられるとは予想外でした。
勝てないとしてもギリギリの勝負をする名局が生まれると思っていましたが、
何もさせてもらえなかったというのが正直な感想です。

どこまで強くなってるんだコンピューター将棋は・・・

elmoの方が強いってのが恐ろしい


今回ものすごい強さを見せてくれたPONANZAですが、つい先日行われたコンピューター将棋の
大会で、このPONANZAに7割勝てるという新PONANZAがelmoと言うソフトに負けたそうです。

「は?」って感じですよね。どんなバケモンなんだelmoってソフトは。
上には上がいるという事なんでしょうか・・・
人間的には絶望感がハンパないんじゃないでしょうか。

でも見る側としてはちょっと嬉しい面もあります。
まだまだ上がいるという事は、将棋はコンピューターでも解明されていないって事ですよね。

人間同士でもコンピューター同士でも、もっともっと将棋は進歩していくんですよ。
当分終わりそうも無い将棋の未来にちょっと希望が持てました。

最後に:今後の将棋は面白そう


それにしてもコンピューターの読みの深さには驚かされっぱなしでしたね。
この予想もつかない読みの深さがコンピューター将棋のすごさや面白さだと思うんですけど、
プロの解説がないと全然分からないんでプロもやっぱりすごいなぁと思います。

名人戦もある忙しい時に佐藤名人は大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。
見てる方としてはとても楽しめました。これからも応援してますので頑張ってください。

人間対コンピューターの頂上決戦の電王戦の結果は人間側の佐藤名人を応援していたので
残念な結果で終わってしまいましたが、記者会見で嬉しいお知らせがありました。

電王戦の予選として行われていた叡王戦がタイトル戦の一つに昇格して続くという事です。
これからは8大タイトルとして争われるそうですよ。これすごくないですか?

今、期待の新人藤井四段が未来に8冠独占とかしちゃうのかな?なんて期待してしまいます。
これだけ難しくなっている将棋界で流石にそれは無理かなと思いますけど、
なんか期待しちゃうんですよね。

今までは羽生三冠の竜王奪取での永世7冠達成が唯一の楽しみでしたが、新たなタイトルが
できたことでまた羽生さんの怒涛のタイトル奪取が見れるかもしれないなんて思ってます。

もう人間とコンピューターとの対局は見られないので、これからは人間同士の将棋を楽しみに
しようと思います。新しいタイトル戦は本当に予想外だったのですごく楽しみです。

あとコンピューター将棋もまだまだ進化を続けて欲しいです。人間には読めないような
「神の一手」的な手を実現して欲しいです。

最終的には将棋を解明して欲しいと思ってますので、これからも開発よろしくお願いします。

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